突如、車両内に響く女性の声
とある電車に乗る。乗車口には多くの人が。やってきた電車の中にも多くの人がぎゅうぎゅう詰めになっていた。電車が到着すると各車両から多くの人がいそいそと出ていった。一通り人がで終わるのを待つ人盛りれば、降りてくる人がいるにもかかわらず、我先にと車両に乗り込もうとする不届き者もいる。いつもの朝、見慣れた光景。我先にと入ろうとする人は、思いやりも余裕もないのだろう。「ゆとり教育」は子供ではなく、今を生きる大人にこそ必要なのかもしれない。
話を戻す。
電車に乗り込むと、先ほど出ていった分だけ人が乗ったという感じ。つまり車両内は満員だ。車両内では換気のための送風が行われていた。その風に乗って防虫剤の香りが鼻を突く。長い間タンスにしまっておいたコートなんかを急いで取り出してきたのだろう。そんな光景を鮮明に思い浮かべることができた。
「くっさ…。」
心の中でそう呟く。あの独特の香りが常時鼻を突くのはなかなかの拷問だ。早く降りてくれないかな…。そんな小さな祈りも虚しく、この匂いと3駅ほど付き合うことになった。時間にすると大体6分ほどだとは思うが、私の中では10分にも20分にも感じた。電車の扉が開くと、防虫剤の匂いがする服を着た人は電車から出たのだろう。変な匂いが鼻を突くことは無くなった。
「これで心穏やかにスマホで漫画を読むことができる。」
この時私が見ていたのは「WORST外伝 ゼットン先生」。「クローズ」、「WORST」のキャラクターで個人的にも好きな「花澤三郎」が主人公の漫画である。その漫画に夢中になっているときだった。
「あんたさっきから私のあとついてきてない!?」
「私がこの車両に変えたら、あんたも来たでしょう!」
「きもいんだよ!」
そんな女性の一方的な声が響いてきたので周りを見てみると、ひとりの女性が近くにいた男性のことを叩きながら叫んでいた。
「マジできもいんだけど!きも!」
また男性を叩いて、女性は隣の車両に移動していった。男性は「勘違いでしょう」とか言っていたけれど、女性は聞く耳を持たない様子だった。混んでいる車両だったから、空いている車両に移動するのはよくあることだし…。個人的には男性のほうが言いがかりをつけられているようでかわいそうだな…と思った。
混雑する電車内。車両を移動するときは気を付けよう。
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