本当にあった怖くはない話
私はしがないサラリーマン。この日も家族のために働いた。仕事を終えて、会社を出たのは午後6時を少し過ぎたくらいだろうか。家までの道のりは大体1時間のはずだが、電車の乗り合わせが微妙に悪いのでだいたい90分くらいかかってしまうのが残念なところだ。
この日もいつものように帰っていた。御徒町から上野までの移動手段は徒歩。歩いてみると、都内の一駅と田舎の一駅の距離はだいぶ違うことを痛感させられる。都内の一駅分は1km以内だろうが、田舎の一駅分は2,3kmを優に超える。軽々しく一駅手前で降りて歩くのがいいなんて言わないでほしい。駅一駅分にも格差があるのだから。
そんなことを思いながら、アメ横通りを闊歩する。すると警察官が2組いて、それぞれが男に話を聞いている様子が見て取れた。「自分は興味ありませんよ」オーラを出しながら、しっかりと耳だけは警察のほうに意識を向けていると、大まかな流れが分かった。
まず男の一人はおじいさん。このおじいさんは何を言ってるかわからなかった。日本人のようだが、酒が入りすぎてろれつが回らないようだった。もう一人はおじさんの2人組。どうやらおじいさんが先に吹っ掛けられたらしいが、どうやら手が出てしまったらしい。「だってあっちからやってきたんすよ。」なんて声が聞こえてきたので、そんなところだろう。
相手が悪いにせよ、「手を出したら負け」なのだ。そんなことを考えながら歩いていると上野駅に着いた。あとはここから家に帰るだけだ。
電車は微妙に遅れが生じていた。幸いにも座ることができたので、最寄り駅につくまで眠ることにした。
最寄り駅について、愛する家族が待つ家に向かって進む。道中に剣道道場の近くを通る。この剣道道場からは夜にもかかわらず叫び声が聞こえてくる。この日も剣道特有の掛け声が聞こえてきた。
住宅街の中にある剣道道場。昔住んでいたところの近くにはフットサル場があり、その付近にも住宅やマンションが建っていた。そのマンションの周りには「フットサル上から出る声がうるさい」というような横断幕が張られていた。剣道道場の周りに住む方々はどう思っているのだろう。昔からある道場だから特に気にしていないのだろうか。
スポーツというのは静かにやってくれと言われてできるものではない。どうしても声というのは必要になる。その辺の理解はしてほしいものだ。もちろん時たま変な奇声を発する者もいるので、それは注意してほしいものだが。
暗い夜道を一歩、一歩と進んでいく。そうすると前方に家が見えてきた。窓からは電気が消えているのが見えた。奥様達はすでに子供たちを寝室に連れていくことに成功しているようだ。
カバンの中からカギを取り出し解錠する。ドアノブに手をかけ静かにドアを開ける…そのときだった。
「ゴンッッ」
「えっ?」
確認してみると、ドアにはドアガードがかかっていた。
これでは家に入れない。おそらく子供たちの誰かがやったのだろう。奥様に開けてもらうよう頼むのは気が引ける。
寝室に行ったとはいえ、まだ寝ていない子がいたら余計に大変だからだ。
すこしばかりごちゃついているバックの中身を探してみると、裏口のドアの鍵が見つかった。これで家に入ることができる。裏口の鍵を持っててよかった。
こうして私は裏口のドアの鍵を解錠し、家の中に入ることができたのだった。
ここまで読んでくださりありがとうございました!では!
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