連日のように芸能界でのハラスメント行為が問題となり、報道されています。この件について、どのようにすればこの問題が解決するのかを考えてみました。
芸能界のハラスメントを支える構造
芸能人のハラスメント行為が長年表面化しなかったり、活動休止に至るまで問題が大きくなったりする背景には、個人の力だけでは説明できない、業界特有の「構造」があります。それは、様々な立場の「協力者」や「黙認者」によって成り立っています。
1. 所属事務所:絶対的な権力と隠蔽の動機
最も直接的な関係者です。多くの事務所では、タレントは弱い立場にあり、生殺与奪の権を事務所に握られています。
権力の集中: 仕事の配分、メディアへの露出、契約更新など、タレントのキャリアの全てを事務所がコントロールしています。逆らえば仕事を干される可能性があるため、タレントは不満や被害を訴えにくい状況にあります。
隠蔽への強い動機: 人気タレントの不祥事は、事務所にとって莫大な経済的損失に直結します。そのため、問題が外部に漏れないよう、組織ぐるみで隠蔽しようとする動機が強く働きます。マネージャーや他のスタッフも、会社の方針に従わざるを得ないことが多々あります。
2. メディア(テレビ局・出版社など):忖度と共犯関係
メディアは、本来ハラスメントを監視・報道するべき立場ですが、実際には問題を黙認、あるいは助長する側に回ってしまうことがあります。
キャスティング権: テレビ局などは、人気タレントを出演させてもらえなければ番組が作れません。そのキャスティング権を大手事務所に握られているため、事務所の意に沿わない報道(スキャンダルなど)を自主的に避ける「忖度」が生まれます。
一体化した関係: 長年の付き合いや人間関係から、メディアと事務所が一体化し、加害者を擁護するような論調が形成されることも少なくありません。
3. スポンサー企業:イメージ悪化への恐れ
企業の多くは、自社の製品やサービスのイメージを何よりも大切にします。
広告契約の力: タレントの不祥事は、スポンサー企業のイメージダウンに直結します。そのため、問題が大きくなる前に、広告契約の打ち切りなどを通じて圧力をかけることがあります。
一方で隠蔽への加担も: 近年はコンプライアンス意識が高まり、ハラスメントに厳しい態度を示す企業が増えましたが、かつては問題を公にせず、内々に処理することを望むケースもありました。
4. 他の芸能人やスタッフ:「見て見ぬふり」と「沈黙」
被害者や加害者の周囲にいる人々も、この構造を支える一因となっています。
自分の身を守るため: 業界の権力者に逆らって告発に協力すれば、自分が仕事を失い、業界で生きていけなくなるという恐怖があります。そのため、多くの人が見て見ぬふりをせざるを得ません。
「昔からあること」という感覚: 「あれは芸のこやし」「業界では当たり前」といった古い価値観が根強く残っており、ハラスメントに対する問題意識が低い、あるいは麻痺しているケースも指摘されています。
近年の変化
しかし、この鉄壁に見える構造にも変化の兆しはあります。
SNSの普及: 個人が直接、世の中に声を届けられるようになりました。
ネットメディアの台頭: 大手メディアが報じない問題を、週刊誌やネットメディアが積極的に取り上げるようになりました。
世論の変化: ハラスメントに対する社会の目が厳しくなり、スポンサーやメディアも「忖度」ばかりしていられない状況に変わりつつあります。
結論として、芸能界のハラスメントは、加害者個人の問題ではなく、事務所、メディア、スポンサー、そして沈黙する周囲の人間によって維持される「構造的な病」と言えるでしょう。この構造を理解することが、問題解決の第一歩となります。
権力と閉鎖的な仕組みが、この問題を複雑化しているように見えます。何とかこの構造を変えてもらいたいものです。
では、どうすればこの構造を変えられるのか?
この根深い構造を変えるには、個人の努力だけでは限界があります。業界全体、そして社会全体で取り組むべき課題が3つ考えられます。
- 独立した第三者機関の設立: 利害関係のない弁護士や専門家で構成される相談窓口や調査委員会を設置し、被害者が安心して声を上げられる環境を整備することが急務です。
- タレントの権利保護の強化: 曖昧な契約慣行を見直し、タレントを労働者として法的に保護する仕組み(労働組合の活性化など)を強化する必要があります。
私たち視聴者・消費者の意識: 最も重要なのは、私たちがハラスメントを容認しないという厳しい視線を持ち続けることです。スポンサー企業やメディアは、世論の動向に非常に敏感です。私たちの声が、業界の「忖度」を変える力になります。
結論:構造の理解から、変革の一歩へ
芸能界のハラスメントは、決して他人事ではありません。それは、事務所、メディア、スポンサー、そして時に沈黙を選んでしまう周囲の人々によって維持される「構造的な病」です。
この根深い構造を理解することは、単に問題を嘆くためでなく、どこに働きかければ変化を起こせるのかを知るための第一歩です。SNSの普及や世論の変化という希望の兆しを本当の変革につなげるために、私たち一人ひとりが「ハラスメントは許さない」という厳しい視線を持ち続けることが、今まさに求められています。
この問題について、皆さんがどうお考えになっているか、コメント欄でご意見をお聞かせください。
ここまで読んでくださりありがとうございました!では!
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