「まるでライナスみたいやな。」
2010年代半ば、当時付き合っていた彼女からそう言われたことがある。その日は夏で、ボクは肌身離さず水色のミニタオルを持ち歩いていた。
「ライナス?」
ライナスという言葉(おそらく人名だろうとは思っていた)に見覚えが全くなかったので、間抜けな顔をしながら彼女に質問をした。
「スヌーピーに出てくるキャラやで。しらへんの?」
彼女は信じられんといったような顔をしていた。この時は知らなかったのだが、彼女はスヌーピーが好きな子だった。彼女はスマホを取り出してライナスを検索し、その結果として出てきたライナスの絵を見せてくれた。
「ほら、この子。いつも水色の毛布を持ち歩いてんねん。」
「なるほど。このライナスとやらは常に毛布を持ち歩いているのか。」
妙に納得した。季節を問わず、人より汗をかきやすいボクは、ミニタオルを手放せない。ある対象のアイテムを「常に持ち歩かないと不安になる」という点で、ボクとライナスは共通なんだな。と。
この付き合っていた彼女とは、一緒に生活をするうちにお互いのやりたいことがお互いの邪魔をするかもしれないということで、話し合った末に別れた。どこかで幸せになっていることを願う。
…というわけで、私にとっての「ライナスの毛布」はミニタオルです。
長い間水色のミニタオルを使っていたけれど、年季も入ってきたのでこの時使っていたものは捨ててしまったけれど、今もミニタオル自体は持ち歩いています。