仕事に没頭し、昼から夕方に変わり始めたころだった。ずっとディスプレイを見て仕事をしていたからだろう。体が縮こまっている気がしたので、少し席を外して体を動かそうと思った。とはいえ、移動できる範囲は限られているので、トイレに行って戻るくらいのことしかできなかったが。しかし、何もしないよりはマシなようで、少し気分が変わった気がした。トイレから戻る過程で体を伸ばすことができたのもよかった。席に戻って引き出しを開けてみると、ニキが沖縄に行ったときに買ったとみられるお土産のクッキーがあった（過去記事参照）。
結局沖縄に行ったのかという質問には答えてもらえなかった。沖縄のどこを観光したのだろう。沖縄に行ったことがない私としてはとても興味があるのに。お土産でもらったクッキーは沖縄素材のラングドシャ「紅芋らんぐ」というものであった。ニキには申し訳ないが、引き出しに入れたまますっかり忘れていた。ドキュメントの修正ですっかり頭がつかれていたこともあったのだろう。体が甘いものを欲していたので、ニキからのお土産を食べてみようと思った。袋を開けると、ふわっと甘い芋の香りが鼻をついた。それはとてもいい香りであった。一瞬にして脳が目覚めた気がした。すかさずクッキーを口の中に入れる。口の中でクッキーは溶けるように無くなっていった。
普段さんざんなことをニキに対していってばかりではあったが、間違いなくお土産は美味しかった。もしかしたらこれは彼の隠れた才能なのかもしれない。
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