朝起きて外を見る。どんよりとした曇り空の朝だった。雨は降っていないように見えた。そんな朝には似つかわしくないほど、朝のお通じは快便だった。
「今日はすっきりとした朝になりそうだ。」
一人そう心の中で呟く。顔を洗い、歯を磨いて着替える。いつも通りの朝だ。息子たちはまだ寝ている。毎朝思うのだが、「なんでそこにいる?」という芸術的な寝相だ。それも一人だけではない。子どもたち全員だ。奥様に作ってもらったお弁当を鞄に入れ、ごみをもって出勤開始。
ゴミを捨てたところで雨が強くなってきた。
「せめて駅につくまで降ってほしくなかったぜ!」
思わず口に出してしまう。近くには人がいなかったはず。もし後ろに誰かがいて、聞こえていたとしたら…。恥ずかしい。
今朝の電車は予定通り来た。電車はそこそこ混んでいたがマシなほうだ。つり革につかまるスペースがある。それにつかまりスマホでニュースなどを見ていた。
電車に乗っていて乗換駅まであと数駅といったところで、私のおなかに異変が起きた。あれだけ出たというのにまだ残っていたらしい。「お前いい加減にしろよ」
乗換駅まで待つか、途中下車するか…。一瞬考えたが、途中下車することを決めた。私の全身から脂汗がにじみ出ていることが分かったからだ。
「たのむ!間に合ってくれっっ!」
そう心の中で強く念じる。電車が駅に停車し、ドアが開く。初めて降りた駅。早歩きしながらもトイレの標識を確認しつつ、一目散にトイレを目指す。トイレは拍子抜けするほどガラガラだった。
「た、助かったッッ!」
いかにも「別に急いでませんよ。」と言わんばかりに落ち着いて個室に入り、鍵を閉める。ベルトを外し、ファスナーを下ろし、便座に座る。
間に合ったことの安堵と残っていた便意との別れで思わず深いため息が出てしまった。
天は我に味方した。
明日からは気を付けよう。そしてすんなり出てくれ。全部な。
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